2013年 11月 15日
燃料移送に失敗すれば(たんぽぽ舎) |
たんぽぽ舎から送られるメルマガの記事です。
少々古いのですが(11月4日付け)。
再度読んで何故危険なのかを再学習しました。
いよいよ始まるプールからの燃料移送(2)
|失敗すれば3.11の再現
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
4号機からの燃料移送作業は、11月8日から開始されるとみられている。
この移送作業は、燃料プールの中に移送用容器を入れるところから始まる。容
器はTN52と呼ばれる、従来も福島第一原発の構内で使用済燃料輸送に使われ
ていたもので、特別に設計されているわけでは無い。重量は92トンである。こ
の中に一度に52体の燃料を詰めて移送することになる。
懸念の一つに、落下時の衝撃に耐えられるかどうかと言うことがあるが、これ
ら核燃料輸送時の容器安全性試験は、最大でも9mの落下しか想定していない。
これは通常船舶輸送する際の港での事故を想定したものである。
今回の場合、建屋が破壊されている4号機で、新たに移送用の構造物を構築し、
その中に垂直に容器を吊り降ろす構造が設けられている。この場所は最大40m
の高さがあるとみられる。
これほどの高度では、落下時に内容物が飛散することも想定しなければならな
い。それが今回の「つり下げ時の落下事故想定」なのだろう。
しかし問題は、そのような事故が起きた場合の対処方法である。
落下して燃料体が露出したら、そこから強力な放射線が発散し、4号機周辺の
空間線量は致死レベルになるだろう。これでは何も出来なくなってしまう。
燃料の燃焼度などにも依るが、最悪のケースでは数日後には
ジルコニウムと空気中の酸素が反応し、水素を発生させながら
燃えあがる。こうなると大量の放射能放出にもつながり、
3.11後に原子力委員会の近藤駿介委員長が官邸に提出した
「不測事態シナリオの素描」に指摘された事態となる。すなわち、
170km圏内全員強制避難(現在の帰還困難区域に相当)、
250km圏内選択的避難(現在の居住制限区域に相当)もの
広範囲の地域が人も住めず生産も出来ない事態になる。
そのまま対処不能な状態が続く場合、1号機から6号機に加えて共用プールの
冷却も困難になり、とんでもない量の燃料破損につながる。
それを防ぐには、可能な限り速やかに全燃料を乾式貯蔵設備に収容することで
ある。強制冷却が出来なくても空冷で冷却が維持できるので、燃料溶融は少なく
ても防げるだろう。残念ながら東電も国も規制庁も乾式貯蔵を実行するつもりは
今のところない。理由はコスト高になるからであろう。そんな問題ではないのだ
が。
少々古いのですが(11月4日付け)。
再度読んで何故危険なのかを再学習しました。
いよいよ始まるプールからの燃料移送(2)
|失敗すれば3.11の再現
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
4号機からの燃料移送作業は、11月8日から開始されるとみられている。
この移送作業は、燃料プールの中に移送用容器を入れるところから始まる。容
器はTN52と呼ばれる、従来も福島第一原発の構内で使用済燃料輸送に使われ
ていたもので、特別に設計されているわけでは無い。重量は92トンである。こ
の中に一度に52体の燃料を詰めて移送することになる。
懸念の一つに、落下時の衝撃に耐えられるかどうかと言うことがあるが、これ
ら核燃料輸送時の容器安全性試験は、最大でも9mの落下しか想定していない。
これは通常船舶輸送する際の港での事故を想定したものである。
今回の場合、建屋が破壊されている4号機で、新たに移送用の構造物を構築し、
その中に垂直に容器を吊り降ろす構造が設けられている。この場所は最大40m
の高さがあるとみられる。
これほどの高度では、落下時に内容物が飛散することも想定しなければならな
い。それが今回の「つり下げ時の落下事故想定」なのだろう。
しかし問題は、そのような事故が起きた場合の対処方法である。
落下して燃料体が露出したら、そこから強力な放射線が発散し、4号機周辺の
空間線量は致死レベルになるだろう。これでは何も出来なくなってしまう。
燃料の燃焼度などにも依るが、最悪のケースでは数日後には
ジルコニウムと空気中の酸素が反応し、水素を発生させながら
燃えあがる。こうなると大量の放射能放出にもつながり、
3.11後に原子力委員会の近藤駿介委員長が官邸に提出した
「不測事態シナリオの素描」に指摘された事態となる。すなわち、
170km圏内全員強制避難(現在の帰還困難区域に相当)、
250km圏内選択的避難(現在の居住制限区域に相当)もの
広範囲の地域が人も住めず生産も出来ない事態になる。
そのまま対処不能な状態が続く場合、1号機から6号機に加えて共用プールの
冷却も困難になり、とんでもない量の燃料破損につながる。
それを防ぐには、可能な限り速やかに全燃料を乾式貯蔵設備に収容することで
ある。強制冷却が出来なくても空冷で冷却が維持できるので、燃料溶融は少なく
ても防げるだろう。残念ながら東電も国も規制庁も乾式貯蔵を実行するつもりは
今のところない。理由はコスト高になるからであろう。そんな問題ではないのだ
が。
by sidediscussion
| 2013-11-15 16:15
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